アシストみやぎでは、これまでベトナム人材を中心に受入支援を行ってまいりましたが、近年はスリランカからの人材受入れをご検討される企業様が増えています。「スリランカってどんな国?」「宗教や食事の配慮は?」といったご質問をよくいただきますので、このコラムでは、現場ですぐに役立つスリランカの文化・言語・習慣の基礎知識をまとめました。
まず知っておきたい基本情報
- 正式名称
- スリランカ民主社会主義共和国(Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)
- 面積
- 約6.6万km²(東北6県※とほぼ同じ広さ)
- 人口
- 約2,200万人
- 首都
- スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ(最大都市はコロンボ)
- 言語
- シンハラ語・タミル語(ともに公用語)/英語もビジネス・教育で広く通用
- 宗教
- 仏教(上座部仏教)約70%、ヒンドゥー教約13%、イスラム教約10%、キリスト教約7%
- 民族
- シンハラ人(約75%)、タミル人(約15%)、ムーア人(約9%)ほか
- 通貨
- スリランカ・ルピー(LKR)
インド亜大陸の南東、インド洋に浮かぶ島国で、日本とは約4時間の時差(日本が進んでいる)。年間を通じて暑い熱帯性気候ですが、内陸の高地(キャンディ・ヌワラエリヤなど)は涼しく、日本人の避暑地としても知られています。「セイロン紅茶」の産地であり、宝石・スパイス・仏教遺跡でも有名です。
在日スリランカ人は2024年時点で約4万人。近年増加率が高く、技能実習・特定技能・留学など多様な形で来日しています。真面目で温和、英語が通じやすいという強みから、特に介護・食品加工・製造業での受入れが広がっています。
スリランカが誇る世界遺産の風景
スリランカには8つの UNESCO 世界遺産があり、そのうち6つが文化遺産、2つが自然遺産です。仏教文化とヨーロッパ植民地時代の面影が共存する、豊かな歴史を今に伝えます。ここでは代表的な4か所の風景をご紹介します。
写真クレジット(Wikimedia Commons より):
シーギリヤ © Binuka poojan (CC BY-SA 4.0) / キャンディ仏歯寺 © A.Savin, WikiCommons (Free Art License) / ゴール要塞 © Rovinovic (CC BY-SA 4.0) / ダンブッラ © Photnart (CC BY-SA 3.0)
現場で使えるシンハラ語フレーズ
スリランカ人材のうち多数派はシンハラ人で、母語はシンハラ語です。ビジネスや教育で英語が通じる方も多いですが、担当者が母語で一言かけてくれた時の嬉しさは格別です。まずは基本のあいさつから始めてみましょう。
「アーユボーワン」──直訳は「長寿を!」。スリランカ人にとって最も心のこもった挨拶です。
基本フレーズ一覧(シンハラ語)
- アーユボーワン(Ayubowan / ආයුබෝවන්):こんにちは(両手を胸の前で合わせるのが定番のジェスチャー)
- ストゥーティ(Stuti / ස්තූතියි):ありがとう
- ボホマ・ストゥーティ(Bohoma stuti):本当にありがとう
- オウ(Ow / ඔව්):はい
- ナェ(Nææ / නෑ):いいえ
- コホマダ?(Kohomada? / කොහොමද?):お元気ですか?/調子はどう?
- ラサイ(Rasai / රසයි):おいしい
- カマク・ナェ(Kamak næ):大丈夫です/気にしないで
- ススワパット・レー(Suba rathriyak):おやすみなさい
ちなみに、タミル人材の場合は母語がタミル語となり、あいさつは「ワナッカム(Vanakkam)」、ありがとうは「ナンリ(Nandri)」となります。受入前に、その方の母語がシンハラ語かタミル語かを確認しておくと、より的確なコミュニケーションができます。
スリランカの文化・習慣で知っておきたい7つのこと
1. 仏教(上座部仏教)が生活の中心
スリランカは世界有数の上座部仏教国で、日本の大乗仏教とは宗派が異なりますが、「お釈迦様を敬う」という根本は共通しています。毎月の満月の日は「ポヤ・デー(Poya Day)」と呼ばれる仏教徒の休日で、スリランカでは祝日となり、この日の飲酒・肉食を控える人も多くいます。日本の職場で完全に休むのは難しいですが、ポヤ・デーの意味を知っているだけで、実習生・特定技能人材との信頼関係が変わります。
2. シンハラ・タミル新年(4月)は最大の年中行事
4月中旬の「シンハラ・タミル新年(アルット・アウルッダ)」は、日本のお正月にあたる最大の行事です。家族が集まり伝統料理を食べ、新年の初仕事や食事の時間まで占星術で決めるほど大切にされています。この時期、実習生が故郷を強く思う気持ちはとても自然なもの。休暇の希望や、電話・オンラインでの家族との時間を配慮していただけると、大きな安心につながります。
3. 家族・年長者を大切にする
スリランカの家族の絆は非常に強く、多世代同居も一般的です。仕送りのために来日している方も多く、給与や生活の相談は「家族のため」という視点で聞くと理解が深まります。年長者・上司への敬意は日本以上に厳格な場面もあり、日本の礼儀作法(挨拶・報連相)は比較的なじみやすい国民性です。
4. 食文化:カレーとライス、右手で食べる
主食は米で、多くの家庭で毎食カレーとライスを食べます。ただしインドカレーとは異なり、ココナッツミルクやカレーリーフ・パンダンリーフを使ったマイルドで奥深い味わい。手(右手)で食べる文化がありますが、職場ではスプーンを使う方が多いのでご安心を。左手は不浄とされるため、書類や物を渡すときは右手または両手で渡す方が丁寧です。
5. 食事の配慮:宗教別に異なります
- 仏教徒:厳格な菜食ではないものの、牛肉を避ける人が多い。ポヤ・デーは肉・魚を控えることも。
- ヒンドゥー教徒:牛は神聖な動物のため、牛肉は食べません。
- イスラム教徒(ムーア人など):豚肉・アルコールは禁忌。ハラール認証のある食材の配慮が必要。
採用時にご本人の宗教と食事制限を確認しておくと、賄い・食堂・懇親会での配慮がスムーズになります。
6. 頭は神聖、頭をなでない
スリランカを含む南アジア文化では、頭は身体の中で最も神聖な部位とされ、たとえ親しみを込めても子どもや大人の頭をなでるのはタブーです。褒めるときは肩を軽く叩く・拍手する・言葉で伝えるのがベターです。
7. 首を横に振るジェスチャーは「はい」に近い
南アジア圏特有の「首を横にゆらす(ヘッドウォブル)」は、日本人には「いいえ」に見えますが、実際には「はい」「わかりました」「同意」のニュアンスです。返事があいまいに感じたら、「Yes ですか?No ですか?」と英語または「オウ? ナェ?」で確認すると誤解を防げます。
受入現場でのアドバンテージ
- 英語が通じやすい:教育制度で英語が広く教えられているため、簡単なマニュアルや指示は英語併記が有効。
- 穏やかで真面目な国民性:介護・接遇・食品加工など、丁寧さが求められる業種と親和性が高い。
- 宗教的な断食(ラマダン等)が仏教徒には基本なし:ムスリム以外は勤務シフト調整のハードルが低い。
- 紅茶文化がある:休憩時間の「紅茶を一杯」が国民的習慣。職場に紅茶(ストレート・ミルク)があると喜ばれます。
文化理解が定着率を上げる
弊組合の巡回指導の経験から言えることがあります。定着率が高い職場には共通点があります。それは担当者がその方の名前・母国・宗教・家族構成をきちんと知り、母国語で一言かけ、困ったときに相談しやすい雰囲気を作っていることです。
スリランカからの受入れは、これから増えていく分野です。「アーユボーワン」の一言から、信頼関係を築いていきましょう。
アシストみやぎでは、スリランカからの技能実習・特定技能人材の受入れに関する事前研修、配属後のフォロー訪問、生活相談まで一貫してサポートいたします。受入をご検討中の企業様、まずはお気軽にご相談ください。
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